大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)897 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人弁護士松浦松次郎の上告理由第一点について。原判決が、控訴人(被

上告人、被告)のD支店係員Eにおいて昭和三〇年六月二日判示のごとく被控訴人

(上告人、原告)に本件砂利採取機を提供したが製品が不良であつたこと、その後

判示のごとき経緯で控訴人がこれを他に売却したこと等を認定しながら、本件売買

は限定的種類債務であつて少くとも右提供したとき特定しかつ引渡したと認定する

ことが相当であり、従つて、右特定により本件砂利採取機の所有権が被控訴人に移

転したものとし、これを前提として上告人の本訴請求を排斥したことは、所論のと

おりである。

しかし、本件売買が原判決認定のごとく限定的種類債務であつて、特定物の売買

でないとしても、もし売主の給付が債務の本旨に従わない不完全なものであれば、

買主はさらに完全な給付をなすべきことを催告し、これに応じなければ契約を解除

の上損害の賠償を請求しうべく、また、種類債務であつて目的物が特定したとして

もその目的物に瑕疵あるため売買の目的を達し難いときは、買主において契約を解

除の上既に支払つた代金の返還を求めうるこというまでもないのである。しかるに

原判決は、本件砂利採取機を提供し特定し引渡したことを認定しただけで、その提

供された給付が売買の目的を達成しうるものであつたか否かについては何等審理判

断をしなかつたのは、審理不尽による理由不備の違法あるものといわなければなら

ない。それ故、論旨は、その理由があつて、原判決はすでにこの点で破棄を免れな

い。

よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官の全員一致で、主文のとおり判決する。

- 1 -

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!